猫伝染性腹膜炎(FIP)とは?初心者が知っておくべき診断と3つの最新治療法

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猫を新たに家族に迎えた方にとって、愛猫の健康を守るための知識は非常に重要です。

特に猫にとって深刻な病気である猫伝染性腹膜炎(FIP)は、飼い主として知っておくべき疾患の一つです。

FIPは早期発見と適切な治療が必要な疾患ですが、その診断は難しく、かつては治療法が限られていたため致命的な病気とされていました。

しかし、2024年現在、FIPの治療には大きな進展があり、多くの猫が回復する可能性が高まっています。

今回は、FIPの基礎知識、症状、診断方法、そして最新の治療法について詳しく解説します。

1. 猫伝染性腹膜炎(FIP)とは?

猫伝染性腹膜炎、通称FIPは、猫コロナウイルス(FCoV)が変異して発症する病気です。

このウイルス自体は多くの猫が保有しており、ほとんどの場合は無害ですが、ウイルスが突然変異を起こすことでFIPが引き起こされます。

FIPは主に若い猫や免疫力が低下している猫に多く見られます。

FIPには大きく分けてウエットタイプドライタイプの2種類が存在します。

  • ウエットタイプ
    体内に液体(腹水や胸水)がたまり、腹部が膨れたり、呼吸が苦しくなるのが特徴です。このタイプは進行が早く、急激に猫の健康状態が悪化することがあります。
  • ドライタイプ
    内臓や脳などの組織にしこりができるタイプで、進行が緩やかです。神経症状や目の炎症、ふらつきなどの異常が見られることがあります。

2. FIPの症状とは?

FIPの初期症状は、発熱や元気のなさ、食欲不振など、一般的な病気の症状と似ています。そのため、FIPを早期に診断するのは難しいことがあります。特にウエットタイプの場合は、腹部の膨満や呼吸困難が現れた時点で病気が進行していることが多いです。一方、ドライタイプでは、眼や神経に異常が出ることがあり、けいれんや歩行のふらつき、眼の変色などが見られることもあります。

猫が以下の症状を示す場合、FIPを疑うべきです:

  • 持続する高熱(通常39.5°C以上)
  • 元気がなく、動かない
  • 食欲が著しく低下している
  • 体重減少
  • お腹や胸が膨れている(ウエットタイプ)
  • ふらふら歩く、視力の低下、けいれん(ドライタイプ)

3. FIPの診断方法

FIPの診断は非常に難しく、特定の検査だけで確定診断を下すことはほぼ不可能です。獣医師は、症状や検査結果を総合的に判断し、FIPの疑いを持つことが一般的です。

  • 血液検査
    血液検査では、貧血、白血球の増加、総蛋白やグロブリンの上昇などが確認されることが多いです。
  • 画像診断
    超音波やX線で腹部や胸部の状態を確認し、腹水や胸水の有無、内臓の異常を調べます。
  • 腹水・胸水の分析
    FIPに特徴的な黄色っぽい粘稠な液体が腹腔や胸腔にたまることがあり、その液体を分析することでFIPの診断に役立てます。

4. 最新のFIP治療法:抗ウイルス薬による治療

FIPはかつて治療法がなく、多くの猫が致命的な経過をたどっていました。

しかし、2021年以降、抗ウイルス薬を用いた治療法が大きく進展し、治療が可能になりました。

現在、FIP治療で効果が確認されている主な抗ウイルス薬には、GS-441524レムデシビル、そしてモルヌピラビルがあります。

4.1 GS-441524とレムデシビル
  • GS-441524は、FIP治療の中核を担う薬で、経口投与が可能な点で、猫に対する負担が軽減されるとともに、飼い主にとっても管理しやすいメリットがあります。ウエットタイプ、ドライタイプのどちらのFIPにも効果的で、12週間(84日間)の治療が標準です。猫の体重や症状に応じて用量が調整されます。
  • レムデシビルは、もともと人間のウイルス治療に使用されていた薬であり、FIPに対しても効果を示しています。特に重症例や、経口投与が難しい猫に対して使用される注射薬で、迅速な効果が期待できます。
4.2 モルヌピラビル

新たな治療法として注目されているのがモルヌピラビルです。2022年に日本の動物病院で実施された研究(Molnupiravir treatment of 18 cats with feline infectious peritonitis: A case series)では、モルヌピラビルがFIPの治療に効果的であることが報告されています。

この治療では、猫に1日2回、10~20 mg/kgのモルヌピラビルを経口投与し、標準的な治療期間は84日です。

この研究によれば、18匹の猫のうち14匹が治療を完了し、治療後も健康状態を維持していました​。一部の猫で軽度の肝機能異常が見られましたが、特別な治療をせずに回復しています。モルヌピラビルは、経済的負担が比較的少なく、副作用も軽微であるため、今後のFIP治療において有望な選択肢となる可能性があります。

4.3 治療中の注意点と経過観察

治療を開始してから数日以内に、猫の状態が改善することが多いです。

特に食欲が回復し、元気を取り戻すケースが一般的ですが、症状が完全に解消するまでには時間がかかることもあります。

ウエットタイプの場合、胸水や腹水が完全に引くまでには2週間ほどかかることがあります。

治療中は定期的に体重を測定し、成長に応じて投薬量を調整することが重要です。

また、神経症状や眼の異常が現れた場合は、薬の用量を増やすことが必要になる場合があります。

治療後も、再発のリスクを抑えるために定期的な経過観察が推奨されます。

5. 治療後のフォローアップと再発リスク

FIPの治療は、一般的に12週間続けられますが、治療が終了した後も再発のリスクはゼロではありません。

治療終了後、特に最初の4週間は、再発に注意が必要です。再発は治療開始時と異なる症状で現れることもあり、例えば、初回はウエットタイプだった猫がドライタイプの症状を示すこともあります。

再発が疑われる場合は、速やかに獣医師に相談し、再度の治療が必要になることがあります。

6. FIP治療中のサポートケア

FIPの治療には、抗ウイルス薬が主な役割を果たしますが、それに加えて猫の体調を整えるためのサポートケアも重要です。

食欲が低下した猫には、食欲増進剤や補助的な栄養サポートが有効です。特に、重度の食欲不振が続く場合には、短期間の栄養チューブの使用が推奨されることがあります。

また、痛みがある場合には、鎮痛剤を使用することも考慮されます。ウエットタイプの猫では、胸水や腹水が大量にたまっている場合、それを定期的に排出することで呼吸の負担を軽減することができます。

7. 予防と健康管理の重要性

FIP自体の予防法はまだ確立されていませんが、猫コロナウイルス(FCoV)の感染を防ぐことがFIP発症のリスクを減らす鍵となります。

多頭飼育環境では、適切な衛生管理と猫同士の接触を最小限に抑えることが推奨されます。

また、ストレスがFIP発症の引き金となることがあるため、猫の生活環境を整え、ストレスを軽減することが重要です。

まとめ

猫伝染性腹膜炎(FIP)は、かつては治療法がなく致命的とされていた病気ですが、現在では抗ウイルス薬による治療が進展し、多くの猫が回復する可能性があります。

ウエットタイプとドライタイプのFIPについての知識を持ち、早期発見と適切な治療を受けることで、愛猫の健康を守ることができます。

特に治療中や治療後のフォローアップが重要であり、少しでも異常が見られた場合は早めに獣医師に相談することが大切です。

この記事が、猫を飼い始めた方々にとって、FIPに対する理解を深め、愛猫の健康管理に役立つことを願っています。

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